March 8, 2024
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ELPHシンポジウム2024は、閉会いたしました。ご参加いただいた方々、ありがとうございました。

特別講演       Special Lectures

特別講演1:有機物質中パイ電子の優柔不断な集団運動
ー共同研究と施設利用におけるホストとゲストー

佐々木 孝彦
東北大学金属材料研究所 所長

電気伝導性を有する有機物質は,軽い,折り曲げられるなどの特徴からフレキシブルエレクトロニクス材料としてのデバイス応用が進んでいます.一方で,基礎物性研究の対象としても興味深く,電気伝導性をつかさどるパイ電子系は,柔らかい分子格子と相互作用し個性的な電子状態を生み出します.その一例として,有機強相関パイ電子系における電荷・スピン・分子格子の自由度が協奏して発現する電荷のガラス現象について紹介します.これらの実験研究では,強磁場,放射光,中性子などの大型実験施設の利用ユーザーと受け入れホストの両方を経験してきました.それぞれの立場から,歓迎されるゲストと選ばれるホスト像についても述べたいと思います.

 

特別講演2:基礎科学におけるdeep learning の利用

瀧  雅人
立教大学 人工知能科学研究科 准教授

この10年のdeep learningの進展によって、極めて広いクラスの問題がニューラルネットによって取り扱い可能であることがわかりました。その中でもdeep learningによる画像処理や自然言語処理などの技術は、科学研究への活用が積極的に試みられている分野です。この講演ではまず、基礎科学におけるdeep learningの影響や研究事例を広い範囲から取り上げて、この技術がどのような可能性を秘めているかを議論したいと思います。また、私が携わった実験物理学などへの応用事例も紹介し、実際の研究へどのように導入可能なのかについても具体的にお話ししたいと思います。