Speaker
Tomohiro TANIGUCHI
(Kyoto University)
Description
現在、茨城県那珂郡東海村にあるJ-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex) のハドロン実験施設内のK1.8-ビームラインにおいてE94実験の準備が進みつつある。E94実験では (π+, K+) 反応を用いてシングルΛハイパー核 (single-Λ hypernuclei) である7Li, 10B及び12Cを生成し、エネルギー分解能1MeV (FWHM) の高精度でΛハイパー核分光 (Λ-hypernuclear spectroscopy) を行う。反応点におけるπ+の運動量は反応点前方のK1.8-ビームラインで、K+の運動量はその点の後方のS-2S (Strangeness -2 Spectrometer) でそれぞれ測定し、質量欠損法から生成したハイパー核の質量・束縛エネルギーを計算する。このK+の情報を観測データから引き出すには粒子識別 (particle identification) をして数多くのバックグラウンドからK+の信号を取り出すことが必要となる。この粒子識別の際に用いられるのがチェレンコフ検出器であり、エアロゲル型とアクリル型を組み合わせて識別をする。反応前後にてπ+は1.05GeV/cで入射し、K+は中心運動量0.72GeV/cで飛び出す。この運動量を持つK+からチェレンコフ光を発生させるのに適した屈折率を持つのがアクリルであり、エアロゲル・アクリル両方で光るものをπ+やβ+等のバックグラウンド、アクリルのみで光るものをK+として識別する。今回はこのアクリルチェレンコフ検出器の開発状況について発表を行う。