Speaker
Yoshito Nakane
(Institute of Science Tokyo)
Description
"カイラル対称性の自発的破れは、QCDにおいて特徴的な物理の一つである。カイラル対称性の破れは、有限密度では対称性の部分的回復が起こることが示唆されている。部分的に回復した相において、どのような物理が繰り広げられているかはとても興味深い。しかし、標準模型におけるQCDでは、漸近的自由性のため低エネルギーでの摂動展開が難しいとされている。そのため、カイラル対称性の自発的破れを調べるためには、摂動展開以外のアプローチが必要である。
線形シグマ模型は、ハドロン有効模型のうちの1つである。その特徴としては、ハドロンの自由度を持っていることや、Landau理論などに類推される4次型のポテンシャルによって自発的対称性の破れを記述できることなどが挙げられる。これまで、線形シグマ模型はさまざまな解析がすでになされている。[1]の先行研究では、考えられる4次までの相互作用を導入する拡張を行っている。
本研究では、axial vector mesonの性質を十分に説明できるように、可能な限りパラメータ数を減らした線形シグマ模型を提案した。さらに、本研究に特徴的な、Flavor SU(3)対称性の破れをクォーク質量によって導入した項を考慮に入れた。また、そのモデルを用いて、質量などをインプットに崩壊幅の計算を行った。
[1]Parganlija, Denis and Giacosa, Francesco and Rischke, Dirk H., Phys.Rev.D 82 (2010) 054024"